「セイくん!お願い、出てきて!」


湖に呼びかける。
あの時黒々としていたあの木はすっかりと、綺麗な葉を靡かせそびえ立っている。




≪・・・ユキ・・・≫



しばらくして声がすると、ユラユラと水面が揺れセイくんが姿を現した。
とても悲しそうな顔をして、気まずそうに顔をそらす。



「セイくん。私の事、助けてくれてありがとう」

≪なんで・・・?聞いたんでしょう?・・・僕のせいで・・・≫

「うん・・・。寂しかったんだよね?ここで独りぼっちで。ずっと一人だったんだよね?」




寂しくて、どうしようもなくて。
心細い気持ちに勝てなくて。


友だちが、ほしかったんだ。
側にいてくれる誰かが。




「友だちになろう、セイくん。私と、レオたちと」

≪ともだち・・・?≫

「そう。友だち。友だちはね、側にいなくても友だちなの。時々会って話をして、時々けんかもして。離れていてもずっと側にいるの。例え一人でも、心の中は暖かくて、大切って思うの」




今、なにしてるのかな?
もうすぐ会えるかな。
考えるだけで楽しい。