「・・・ユキを返せ」

≪いやだよ。もう、ユキは僕のもの。返してなんかあげないよ≫

「貴様が欲しいのは、友だちだろう。それなら、俺が友だちにでもなんでもなってやる」

「レオさま!」





もう、俺のせいで誰かが犠牲になるのは耐えられない。
どうせ、生きていてもしょうがないと思っていた命だ。

その命を、ユキが救い上げてくれた。



ユキがいないのなら。
生きていたって仕方がない。




「俺が代わりに死ぬ!だから、ユキを返してくれ」




お願いだ。
連れて行かないで。



ユキの笑顔を失いたくない。




ユキには、帰る場所もあるんだ。
俺にはわからない世界。
詳しく聞いたことなんてないけれど。



ああ、こんな事なら詳しく聞いてみるんだった。
聞いて見たかった、ユキが生まれた場所の事を。



俺を救い上げてくれたユキを作り出した世界の事を。