「雪、おはよう!」

「佳奈、おはよう」

「なんか、忙しないわね」

「寝坊して・・・。よかった、間に合った」




親友の華なの姿を見て安心して走るのをやめた。
じんわりと滲んだ汗をハンカチで拭う。




「今日は寝坊?」

「今日はって?」

「前遅刻した時、変な声が聞こえたって言ってたじゃん」

「・・・声?そんなこと、言ったっけ?」




首をかしげる。
遅刻なんて、久々にしたし。
変な声も聞いた記憶はない。

佳奈、寝ぼけてるの?




「え、なに忘れちゃったの?」




忘れた?
なにを?


私はなにも忘れてなんか・・・。




その時、学校のチャイムが鳴り私たちは慌てて校門をくぐった。