レオに思いを告げられた帰り道。
私は自室のある階へと歩いていた。
「聞いたか?王さまの縁談の話」
「ああ。前々から話はあったんだろう?でも、女嫌いだったからって話が止まってたって聞いたけど」
話し声に足を止めた。
今の話って・・・。
「でも、最近の王さまの様子を見て、本格的に進めようって話が上がってるらしいぜ」
「へぇー。王さまになった途端妃もとるのか。でも、前の王さまもそうだったみたいだからな、早いに越したことはないのかもしれないけどな」
「他国との親交のためっていう面も大きいし、王が変わってまだ不安定な国だから協力を仰ぐためにも必要な縁談かもな」
政略結婚。
今までの王さまもみんなそうだったと言ってた。
王さまとか、王族とか、そういうのが当たり前なんだ。
わかってたはずなのに。
レオだって、そうだって。
レオも王さまになったんだから。
国のためになる縁談を纏めなくちゃいけないって。
わかってた。
「一番の候補は隣国のマリア姫って話だぜ」
「指折りの美女じゃないか。いいなぁ王さま。隣国は規模のでかい国だし、親交を深めておきたい国だもんなー」
次第に遠ざかる声を聞きながら、私は向き合いたくなかった現実と向き合うことになった。