それからも、会う人会う人に責められることもなく穏やかに会話を交わす。
それが、不思議で仕方がなかった。
「あの時の様子を見てたら、もっとみんな不満がいっぱいあるんだと思ってました」
フランが、誰もが思って口に出していなかったことを改めて口にした。
不満があるのは当然のことだと理解していた。
だからこそ、真相を一刻も早く明らかにして国民に示さなければと。
「なんだ、今度は王子さま直々に来たのか?」
通りすがった年配の男に怪訝な顔でそう言われた。
初めて歓迎ではない対応だと思ったが、それでもあからさまな敵意ではないことはわかった。
「今回の件は、本当に申し訳ないと思っています」
レオがそう言って頭を下げるのに合わせ、グレンたちも頭を下げる。
「・・・ったく、本当はもっとぼろくそに言ってやるつもりだったんだけどよ。あんなに必死こいて頭下げられたらなあ」
「え?」
「なんだ、一緒じゃないのか。じゃあ、会ったら言っといてくれ、もう十分わかったからうちに来る必要はないってな」
そう言うと男は機嫌よく歩いていってしまった。
いったい何のことなのかと首をかしげ顔を見合わせた。


