レオは、グレンやノア、フランを連れ裏口から城下へ降りた。
門番すら王の息がかかっているため、あまり自分たちの行動を知られたくなかった。
裏口には、レオたちしか知らない抜け道がある。
「思ったほど、ギスギスはしていないようだな・・・」
「ええ。もっと、荒れているかと思っていました」
街の様子を見ながら進んでいく。
街は穏やかで一見、以前とは変わらずに見えた。
「あ、王子さまではございませんか?」
店の店主がレオに気づき声をかける。
その声もとても穏やかだった。
「今回は、不甲斐なく申し訳ない」
「いえ、いいんです。もう十分に頭を下げていただきましたから」
店主はそう言ってにっこりと笑った。
十分に頭を下げてもらった。
店主のその言葉は、レオたちにはあまり理解できなかった。
国民に対して頭を下げたのは失敗したのだと全体に話したあの一度きり。
あれからは他の対応に追われ、なにもできてはいなかったのだ。
あの謝罪で、納得してもらえた人がいるとはうまく理解ができなかった。
しかし店主は穏やかに、レオの前だからと嘘をついているようには思えなかった。