あんな目に遭わされて、死ぬ思いまでしたのに。
ユキはあの男を庇おうとしている。

口に出して助けてやれとは言わなかったが、その思いはヒシヒシと伝わってきた。




あの男になにをほだされたのかは知らないが、到底あの男を許せるわけがなかった。
だが、あの男だけを責めるつもりなどなかった。
元をただせば、それを引き起こした原因は王にある。

そして原因をたどれば、自分にある・・・。
カイの話を聞いてより一層自分の責任を強く感じ取った。




「結局は、俺のせいか・・・」




レッドアイを持つ者として生まれてきたこと。
何度後悔したことか。

ユキに出会い、前を向くことを選んだはずが引き戻される。
お前には誰も救えないのだと。



傷付けているのは、他の誰でもない自分自身なのだと。





一足先に牢を出て階段を上がり扉を開いた。
そこでどこかから戻ってきたユキと鉢合わせた。



レオは一瞬目を見開いたが何事もないかのようにユキの隣をすり抜け、塔を出た。




自分の部屋を出て行ったユキを、追いかけなかったのは自分だ。
追いかける資格はないと。
追いかけたところで、余裕のないこの心では、ただ傷つけてしまうだけだと。