「私が、あの時のカイと今のカイがシンクロしなかったのって、私がカイの事を誤解してたからなんだ」




そう考えたら、シンクロするの。
今の柔らかい雰囲気の優しいカイと、恐怖のすべてだったあの時のカイと。




「私を、死なせないためのものだったんだよね?」

「言っただろ?俺は、あいつが戻ってこないことを信じてたんだ。戻ってこなければ、あんたは確実に死んでた。最後のあの注射で」

「でも、差し込んだだけで注射はしなかったじゃない。先生が教えてくれた。ちゃんとぴったり入れていたはずだからって、最後の6回目の注射の液は少しも減ってなかったって。差し込まれてから、時間は十分にあったよね?その時だってわかんなかったけど、今考えたらそれだって辻褄が合うんだよ」

「だから、あんたの想像にすぎないって。俺は、そんなできた奴じゃない」

「だったらなんで、窓の外に来たの?私の様子を見に来たんじゃないの?錯覚だって思ったけど、私の事見たらすぐ帰ったじゃん」




私が取り乱して、怖くなって、すぐに姿は消えてしまったけど。
あれは、私の事を見に来てくれてた?

一つ繋がると、どんどん納得ができる答えが溢れてくる。


ただそれは、本当に私がそうであってほしいっていう願望も入ってるのかも。




そうであってくれないと、カイを許してしまいそうな自分に納得できないから。





「・・・俺のことなんか、許そうとしなくていいんだって」





カイが苦しげにつぶやいた。