「どうして、あの時俺を庇った?」

「え・・・」

「お前の事、殺そうとした人間をなんで庇った?」




カイがフードを取り、まっすぐ私を見据えながらそう言った。
怖くなって一歩一歩と後ずさると、それに合わせてカイも近づいてくる。





「そんなに怯えるくせに。同情したわけ?病弱な妹を抱えたかわいそうな人だから?」

「そんな・・・」

「騙されてるだけかもしれないのに?あんたの事騙そうとして、ああいう所を見せたのかも」

「カイ・・・やめて」

「敵に情けをかけてどうすんの。足元すくわれて、護りたいものなにも護れなくなるだけじゃないの?」




壁まで追い込まれた私の顔の横に、ドン!と強く腕ごと叩きつける。
ビクッと肩を揺らし、肩を竦めた私をしたから覗き込むカイの表情は鋭く怖い。




「わかんないよ・・・。私、どうしたらいいのかわからない」

「だったら教えてあげる。今すぐここにあいつらを呼んで俺をつき出せばいい」

「でも、そうしたらリリちゃんはどうなるの!?」



叫びながら今度は私がまっすぐカイを見つめる。
頭に血が上り体が熱い。