「それだけ、皆期待してたってこと。魔物の恐怖に怯えずに済む世界が来るって夢に見た世界が・・・。期待して期待して・・・、それなのにって・・・」




フランが、少し言い辛そうに言いよどんだ。
私は何でも受け入れられるとフランをしっかりと見つめ返す。



「・・・たった一人の騎士のために自分たちを犠牲にしたのかって」




突き刺さる言葉に、怯まない。
どんな言葉でも受け入れると決めた。




「うん」

「レオさまは、国民のみんなと同じように、仲間であるユキも大切だから見捨てることはできなかったって答えた。でも、それが余計に火に油を注いだみたいになって・・・」

「レオ・・・」

「でも、レオさまは言ったんだ。国民のみんなの期待を裏切ったりしないって。討伐の任は何としても遂行させるって・・・」




フランが悔しさを押し込めるよう拳を握る。
悔しかったんだよね。
苦しかったんだよね。




「みんな・・・、ずるい。自分たちは、安全な場所にいて、ただ文句だけぶつけて。・・・責任全てをレオさまに押し付けて・・・」

「フラン・・・」

「力があるレオさまがするべき任務なのはわかってる・・・。でも、だからって押し付けていいわけない。レオさまを想ったら・・・苦しくて・・・」