「回りくどく悪質なやり方。目的は任務をやめさせることではなく、我々・・・いや、私の心を抉るためだけの事。私に強い恨みを抱いている人間の差し金です」

「・・・」

「ユキは、門の中から見送りをしてくれました。ユキがその後門から出たことはまずありえない。私はユキにすぐに塔に戻るよう伝えましたから。つまり、ユキは城の中で襲われた。しかしユキが囚われていたのは城から少し外れた森の奥。そのような者がなぜ場内に進入できたのか・・・」




レオは一呼吸おいて、王に突き付ける。





「手引きをしたのはこの城の者・・・」

「まるで名探偵だな、レオよ。で、それは誰なのか、見当はついているのか?」

「私をそれほどまでおとしいれたいと思っているのは、・・・あなたしかいませんよ」

「ほお。わしだと申すか」

「あなたなら、もし捕まったとしても刑を軽くすることも、もしくはどうにか逃がすこともできるでしょう。王が後ろ盾にいるとなれば、多少の無茶もできますからね」





王は余裕を見せた表情で笑うと、レオを見る。
椅子に大きくもたれかかると口を開いた。




「なるほど、筋の通る推理だな。さて次は、証拠を出してもらおうか?ん?」

「証拠・・・」

「もちろんあるのだろう。仮にも父を犯罪の片棒を担いだと決めつけるのだから」




勝ち誇ったような王の瞳。
証拠なんて、あるはずがなかった。