「ユキさんは、致死量ギリギリまで毒を身体の中に入れてしまっていました。王子さまによって解毒剤は投与されましたが、それですぐに完璧に治るというわけではありません」

「・・・」




イルム先生は丁寧に説明を始めた。
私に入れられた毒は、特殊な毒ですぐに死をもたらすものではなかったらしい。
入れられた量により、徐々に体の自由を奪い最後には心臓を止めてしまうというものだったと教えてもらった。




「この毒は、順を追って体を止めていくんです。手、足、表情そして心臓・・・といったように。ユキさんは、おそらく心臓を止めるギリギリのところだったはずです」

「先生、ユキは、元通り治るんでしょうか」

「もちろん。毒を抜けきってしまえば。ですが、時間がかかります。治療には、根気と精神力が必要になります」




レオは私の手を握りしめてくれている。
それが、嬉しい。

イルム先生は、レオからまた私に向き直り微笑んだ。



「ユキさん。自分の身体が動かないことは、精神的に苦しくなることもあると思います。ですが、強い心を持って治していきましょう。必ず動けるようになりますからね」




力強い先生の言葉に、私は頷いた。