予想外の訪問者に目を丸くさせたグレンだったが、子どもの目線にしゃがみ込み子どもに優しく笑いかけた。
「私たちに何か御用ですか?」
「おーじさま?」
「・・・私は違いますが、王子さまとは顔見知りですよ」
口を開いて王子という子どもに、少しだけ警戒を覚えそう答えた。
子どもは屈託ない笑顔を見せ何かをグレンに差し出したのだ。
「おーじさまにどーぞ」
「・・・?これは?」
「おーじさまにね、渡してってお使い頼まれたの!偉いでしょ!」
誇らしげに笑う子どもにグレンは笑いかけ「ありがとう。偉いですね」と頭を撫でた。
子どもは嬉しそうに駆け出し宿の階段を駆け下りて行った。
グレンの手元に残されたのは茶色い小包だ。
「見るからに怪しいよね」
グレンの後ろから覗き込むようにしてフランが怪訝そうな表情を浮かべた。
子どもを使いここまで運ばせたことは明確。
それは、いい届け物ではないことは確かだった。


