「ああ、そのことか。ケガをしたそうだな」
「どうしてそんなに他人事に思えるの!?」
仲が悪いことくらい知ってるけど、自分の息子でしょう!?
ケガがどれほどのものなのか、命には別状はないのかとか、気にならないわけ?
私はこんなにも、胸が張り裂けそうなのに。
「私を、騙したのね」
「人聞きの悪い。騙してなどおらんわ」
「うそつき!もう、魔物にレオを襲わせないって!」
だから私は、王のもとに来たのよ。
それなのに!
「襲わせないとは言っていないだろう。それに、わしが言ったのは、公務がある日を口を滑らせないと言ったのだ」
「なに」
「あいつらが勝手に襲っていることに、わしは関係ないからな」
魔物は、王が口添えをしなくてもレオの命を狙ってる。
ただ公務の日を教えない、それだけを約束したっていうの?
「卑怯よ!」
「ウソは言っていない」
わなわなと震える身体。
怒りが抑えられない。