どんどんと、彼らとの距離が近づいていく。
まだ、彼らはこちらに気づいていない様子だ。




「やあ、レオ」




しかし、王さまは無情にもレオに声をかけてしまった。
レオの鋭い視線が王さまに向く。
睨みつけるような厳しい視線。

王さまへのレオの気持ちがすべて込められていた。




しかし、次の瞬間その後ろにいる私に気づき、目を見開いた。
動揺が隠せない。
それは、グレンたちも同様だった。




「紹介しよう。ワシの側に置くことにしたのだ。自己紹介しなさい」




王さまは、勝ち誇ったような声色でそう言うと私を一瞥した。
白々しい、私が騎士をしていたことを知っていながらそうやって・・・。




「・・・ユキです」

「まだ、未熟だがね。わしを慕ういい娘だ」




高らかに笑うと、王さまは満足したように歩き出した。
慕ってなんてない。
そう言いかえしたいのに、できない。



グッと拳を握りしめて、レオの横を通り過ぎた。