「レオたちは、無事城に戻ってきたようだぞ」



そう知らされたのは、ずいぶん夜も更けた頃だった。
王の妃になる、とはいってもすぐにすぐというわけではないらしい。
私がこの世界に身寄りのない人間だから余計らしい。


一国の王が、易々と年端のいかない女を妃になんてやはり無理があるのだ。



でも、私はなんとなく気づいていた。
王は私を妃にしたいわけじゃなく、ただ私をレオから引き離したいだけなのだと。
どうしてなのかはわからないけど。




「そうですか。よかった」




短くそう告げると、王は片方の唇の端だけをあげて笑う。
私は、王の自室の隣に用意された部屋にいた。
その部屋を王が訪ねてきた形だ。




「この先も、なにもなければよいな」

「・・・悪魔と手を組んで、恥ずかしくないの!?」

「手を組む?人聞きの悪いことを言うな」

「どう違うのよ!」

「ただ、レオが出かける時を、世間話のように話しているだけだ」





それのなにが悪い、と王は笑う。
悔しくて言葉が出ない。
私には王を言い負かすだけの力がない。


悔しい。