しばらく座り込んで呆然としていた私。
ノアもフランも、私の事をそっとしていてくれた。



「グレン・・・」




神妙な顔をしたグレンが塔にやってきた。
私は俯きグレンを視界に入れないようにする。
怒られるに決まってる。
あれほどバレるなと言ってきたのにって。



「怪我は、ありませんか?」




でも、グレンから降ってきたのは私を気遣う言葉だった。
思いもよらぬその声に、止まっていた涙が溢れだす。




「グレ・・・ごめ・・・なさい・・・」

「レオさまの自室の被害の様子を見ました。どれほどの敵だったのかよくわかりました。一人でよく頑張りましたね」




初めてグレンに優しい言葉で慰められた。
いつも厳しいことばかり言うグレン。
でも、私の事を想ってだってことは最近わかってきた。
そんなグレンの優しい言葉に、私は首を大きく横に振った。


褒められることなんて何もない。
ただ必死だっただけ。

秘密もばれたし、レオにも嫌われた。





もう、レオに合せる顔なんてない。