「ユキ」
「大丈夫、壁まで下がって!」
しまった。
咄嗟だったせいで武器を持っていない。
ソファの横にあったランプを手探りで掴む。
それを剣のようににぎり魔物に向ける。
魔物の大きな手が振りかざされる。
それをランプで受け止め力を半減させながら魔物の手を払っていく。
しかし、その一撃でランプはひん曲がり使い物にならなくなってしまった。
「きゃっ!」
「ユキ!」
魔物の大きな手が勢いよく振り切られ、私の身体を薙ぎ払う。
飛ばされる瞬間レオに抱きすくめられいっしょに壁に吹き飛ばされた。
胸を強打し息ができなくなる。
「ごほっ・・・ごほっ・・・・」
「・・・っ、・・・ユキ・・・お前・・・」
私に覆いかぶさるようにして倒れたレオが私の顔の両脇に手をつき起き上ると、驚愕の表情を見せる。
「え?」
私はとっさに髪に手をやると、それは自分の黒い長い髪だった。
ウィッグがさっきの衝撃で取れてしまったんだ。


