ノアに言われ、首をかしげながら慌てて頭を下げる。
チラリと前を見ると誰かがぞろぞろとこちらに向かってきているところだった。



「誰・・・?」

「王さまだ」

「え?」



王さま?
今まで姿を見たことない王さま。
好奇心に少し顔をあげ視線を向ける。




「ユキ!」

「あ、ごめん」



ノアに小声で叱られ、慌てて頭を下げた。
チラリと見えた王さまは、がっちりとした体格の白髪の年配の鋭い目つきをした人だった。
レオとは、似ていない。


王さまが通り過ぎるのを頭を下げて待つ。
王さまはぞろぞろと従者をたくさん連れている。
レオについているのは総勢4人というのに、その何倍もの人を連れている。
きっとここに連れていない人もたくさんいるんだろう。


力を誇示して、レオを妬み嫌がらせのごとく手練れのものを自分の側に置く。
仕事をレオに押し付け自分は高みの見物。
独裁者で、レオを息子だと思っていないかもしれないという・・・。



あの人がそうなんだ。




あの人のせいでレオは、心を閉ざしてしまったんだろうか。