「その時は、今まで通りの日常に戻るだけ」

「今まで通り・・・」



誰の事も受け入れず、信じられず、生きることを諦める日々。
その日常に、戻る・・・?




「・・・俺は、今更。誰を信用できなくとも、生きる希望が見えなくとも構わない」

「レオさま」

「でも、そんな俺にお前が言ったんだ。生きろと」




無責任だったろうか。
まっすぐ向けられたレオさまの心が。
それでもそれは、私に向けられた期待ではなくて。




「だが。今のお前に動かされるものは何もない。俺の勘違いだったようだな」





レオさまはそう言うと踵を返す。
振り返ることなんてしない。
レオさまは、そういう人なんだ。



元々、きっと去る者は追わない人。
だって、誰も信じてはいないから。



そんな風にして生きてきた人だから。






「レオさま!」




私は、叫んでいた。