「あなたを守るために、自分の手を赤く染めている人がいることを。わかってますか?」



魔物だとはいえ。
手にかけてしまう事。
こんなにも苦しくて、怖くて、逃げ出したくなることだってわかった。


フランやノアや、グレンたちは今まで、何度もそんな気持ちを感じて戦ってきた。
レオさまのために。



「誰かを守るために振るう剣はものすごく重いんだと、知っていますか?」




押し付けがましいのかもしれない。
守ってくれなんて頼まれてもいないのに。


それでも。
守る人の気持ち、少しだけわかったから。



わかってほしいと願ったの。




これから先、レオさまが生きていく中で。
少しでも、私のこの言葉が時々でも頭の中に浮かんでくれれば。




少しでも、グレンたちの頑張りを、認めてくれれば。




私はもう、いなくなるけど。





「じゃあ、俺は失礼します」




一方的に言うだけ言って、部屋を出た。
怖かった。
レオさまになにを言われるか。
だから、返事を聞く前に飛び出しちゃた。