えーっと… この前は確か五巻まで読んだっけ。 目当ての本を見つけ、備えつけの椅子に腰掛ける。 ポカポカと日当たりのいい場所で午後の読書には最適だ。春の日差しが窓から図書室に入ってきて、オレンジ色に照らされる。 30分くらい、ずっとそうしていた。 コツン、コツンと革靴が床を蹴る音がして図書室に誰かが入ってきた。 足音は、一旦止まりその後まっすぐ此方へ向かってくる。 え…なんか… ここに向かってない? 何の迷いもなく進む音は俺のいる本棚の二つ前の本棚で止まった。