ーピンポーンー

「はーい。」

何度も見た顔。

「あら、ルイくん。」

それは、さきのお母さん。

「お久しぶりです。
お母さん。」

「どうしたの?」

「さき…さんと、
結婚させてください。」

「…いいわよ。」

「え?」

俺は、思ってもみない返事が返ってきて少し焦った。

「あの子ね。
実は薬で隠してたけど、病気持ちなのよ。」

「え?…喘息じゃ…?」

「あの子ね
いつもそうやって嘘ついてたのよ。
みんなに同情されたくない。
普通の子として接して欲しいんだ
って。」

「そう…だったんですか。」

「あの子ほんとに強い子だったのよ。

いつ死んでもおかしくない
って言われてたのに、
『お母さん、大丈夫大丈夫。
笑って。
お母さんは一人じゃないんだよ?』

って、さきが一番辛いはずなのにね…。

あっ!そうそう。
あの子が誕生日の次の日の夜ね、
あの子
『あたしが死んでからルイがプロポーズしてくれたら、お母さんが代わりにOKしといてね。』
って、頼まれてたのよ。」

「すいません。
待たして…
コレ買うのに時間
かかってしまって。」
そう言って、
俺はポケットから小さい箱を出す。

「あら…指輪?」

「はい。
まだまだ安物ですけど、
いつか絶対高い
さきに似合う指輪買います。」

「ルイくんも、やるわねー。
あっ!そうだ、
ちょっと待っててね。」

お母さんが、家の中へと入って行った。


少ししてからお母さんが戻ってくる。

「コレ。」

お母さんが可愛い小瓶を差し出す。

「さきの灰なの。
さきがルイくんのところに
お嫁に行く時、渡そうと思って。
さきを、お願いします。」

「…いままでさきに支えられてきたので、次は俺がさきを支えていきます。

幸せにします。

絶対に…。」