そんな風に思っていると、

ノイさんが急に席を立ち、

店を出て行ってしまった。


カルさんもすごく優しくて、

面白い人だった。


だけど私はずっと

ノイさんのことが気になっていた。


見ず知らずの私を

全力で助けてくれたから…?


優しい言葉を

かけてくれたから…?


悲しい瞳をしていたから…?


いろいろな理由が混ざりあっていたけれど、

『ノイさんにもう一度会いたい』

その思いだけは、

はっきりとしていた。


ノイさんが店を出て行ってからすぐに、

カルさんは私に

一言言ってから

店を出て行ってしまった。


「ごめんな!俺、ノイの所に行ってくる!
また会えたらいいね!」


私は手を振って見送った。