「天に召されろ」

クリスがまさに砲弾を放とうとした瞬間。

「!!」

ゴォッ!!と。

肌に風圧すら感じるほどの強大な殺気が、私の体から発散された。

その殺気に、クリスも無視していられなくなる。

「…なんだ…それは…」

「修内太がさっき言ってたでしょ…?」

私は縦長い瞳孔の右目でクリスを睨む。

「私の『鍵穴』は既に貫かれているの…それを無視して修内太に手を出しているから、私を殺すチャンスをみすみす逃すのよ…」

そう。

魔力のコントロールは成った。

『門』である私は、内面の魔力を働かせる事で、死の世界との連結を果たしたのである。

異界開門完成。

後は私がその気になれば、すぐにでも門は開く。

そして開いた瞬間、この場はどす黒い、命の存在を許さぬ常世に塗り替えられる。

「ば…馬鹿な…」

ここまで圧倒的な強さを見せ付けていたクリスが、初めてその表情に戦慄の色を浮かべた。