私の番も終わり、
次はキャプテンが打つ番だ。

「キャプテーーン!
ホームランですよーーーーー!!!」

「ok
まぁ見てなって♪」

バッターボックスに立つキャプテン
そんな姿がとてもキラキラしている。

ピッチャーが投げる体勢になったとき、
審判が、

「選手交代、ピッチャー前野に変わって内井」

内井選手だ。

そうか、内井選手はキャプテンに打たせないつもりだ。
キャプテン頑張って!!!

私は心の中で強く思った。

内井選手が投げる体勢に入って、
ボールを投げた。

その球はとても速く、
キャプテンは惜しくも打つことが出来なかった。

キャプテンが悔しそうに帰って来た。
私は、何も声をかけてあげられなかった。

こういう時、キャプテンなら、
なんて言っただろう。

次の人も、どんどんアウトになった。
そのまま、逆転勝利されてしまった。
帰りのバスも、静かだった。
いつもなら、反省会をしているのに。

ショックを隠しきれず、泣いてしまう人もいた。
ただ一人、
キャプテンは上の空だった。

あたりまえだ。

3年の先輩方は、シードを逃すと、
勝ちが遠くなる。

現に先輩方は、一度もシードから外れた事は
無かったのだ。

皆、暗い雰囲気のまま、帰っていった。

顧問の河口先生と児島先生は、
雰囲気を察して、

「今日は帰ろ」

と、一言いって学校の中に入ってしまった。

先輩方は、お疲れも言わず帰ってしまった。

私達1年は、見送ることしか出来なかった。