咲季side

学校という場へ足を踏み入れる。



すると嫌でも耳に入ってくる騒がしい音。





朝から元気な挨拶。

部活での掛け声。

更にはその部活動を応援でもしているのだろうか?女子たちの黄色い声。




そんな騒がしい音から逃げようと足を動かした。






その時後ろから誰かに肩を叩かれた。


「おはよっ!」

「おはようー」


その人物は私の親友達だった。






「おー、おはよー。ねー、もう聞いてよー、朝から学校に入るとうるさいの何のって…」




私は今さっき思ったことを親友達に愚痴る事にした。






「まぁ、まぁ。みんなきっと連休明けで久々の学校で嬉しいんじゃないかなぁ?」




そう、美雪の言う通り。

今日は久々の学校だ。





「えー、でもさー、やっぱうるさいよ。」

「まぁまぁ…。」



それでもまだ言おうとする私を、美雪は小さい子をなだめるかの様に私の背中を撫でながら言った。










「美雪って…小さいよね。」


ふと、隣から綾女が呟いた。






「え!?私!?わ、私小さくないよ!?こ、
これでもバレー部で守護神っ…なんだからね!?」





そう、確かに美雪は小さい。

高校一年だというのに身長は150cmくらいだった気がする。

それなのに、バレー部で守護神というのだから驚きだ。


何でも守護神というのは美雪のポジションは『セッター』らしく、セッターは本来コート上の司令官みたいなものなのだが……。


美雪はコート上のみんなを上手く使いこなし、更にはみんなの失敗をチャンスに変える。


そんなところから付けられたのが守護神らしい。




「いやぁ…美雪は小さいよ。」




私も思ったことを口にしてみる。



「なっ………」





私にも言われたのがそんなにショックだったのだろうか。



がっくり肩を落としてトボトボと歩いて行った。






その姿がおかしくて綾女と笑ってしまった。




「…ぷっ…もー!美雪落ち込みすぎー!」


「そーだよー!守護神なのはすごいよっ!だからそんな落ち込むなって!」











美雪と綾女の前では本当の笑顔でいられる。




あぁ、こんな幸せな日々がずっと続けば良いのに……。


















そんな私の願いは叶うことはなかった。