お前が愛しすぎて困る




「...花南。」


「...なに?」


じとっとした目を俺に向ける。


脅えていたことより、


映画に間に合わなかったことの方が


こいつには大問題のようだ。


それなら、


俺も何も言う気はなかった。


「...悪かったな。」


" 本当にそう思ってんの? " 


って、


花南の目が語っている。


「悪かったって思ってる。」


改めて口にすると、


俺の顔をじーと見てから


「それならいいよ。」


と言って、シートにもたれかかった。


「埋め合わせはする。」


「えー、それじゃ何してもらおうかなー。」


途端にウキウキした声を出す。


ひとの弱みを握るのが大好きな生粋の


「...ドS女。」


聞こえないほどの小声で言ったのに、


「...超ドSに言われたくない。」


はっきりと聞き取ったらしい。