下校しようとした私を待ち伏せしてた宮前に押し付けられた進路希望調査票。

貰うのはこれで何枚目か。

言えば余ってるものを、白紙で提出してあげたのに。

白く揺れる溜め息を吐き出し、鞄に進路希望調査票を鞄に押し込みながら歩みを進める。

スーパーに寄り、適当に安い食材を買い込んで帰宅。

洗濯物を取り込み、たたみながら晩御飯のメニューを考える。

お肉と魚をメインに、交互に主役を変えて作って来たけど、今日は鍋な気分かな。

鍋の素がないし、水炊きにしよう。

そうと決めたら、準備しよう。

部屋が暖まったところでコートを脱ぎ、ブレザーをソファーに投げ、エプロンを着る。

静かな空間で、黙々と準備。

--ブーンッブーンッ

すると、鞄の中で震える携帯に気付いた。

エプロンで手を拭い、電話に出る。



「もしもし……」



登録外の電話番号に戸惑いながら出る。



『心優ちゃん……?風花……っ……』



「風花ちゃん??」



どうやら、電話の主はお兄ちゃんの彼女である風花ちゃん。

多分、会社からだけど何故か泣いてる。

専務取締役の秘書をしてる風花ちゃん。

個室を宛がわれてるらしく、秘書室には1人だろうけど、どうしたのか。



『心希……、どこに居るの……っ……?』



「どこって、出張してるでしょ」



彼女である風花ちゃんが、知らない筈はない。

けど、お兄ちゃんは知らせ忘れたのだろうか。