騒めきの声が私を囲んでた…


ぎゅっと抱えていた大河がいないことに気付いたときは、パニックになりそうだった。


はっと目を開けると、近くにいたおばさんが『この子生きてる!』と叫んだ。



《生きてる》……?


大河……大河は…?



アスファルトに手を突いて起き上がると、頭に激痛が走る。


顔を歪めながら体勢を立て直していると、さっきのおばさんが『動いちゃダメ』と言った。


狭い視界の中に一際目立つ人集りを見つけて、直ぐ様駆け寄った。



あの中に大河がいる。



そんな期待を込めて。