秀の、息がかかる。 瞬きが分かるくらい、近い距離にいると思うと鼓動が早くなった。 すると、突然首が、ひやりと濡れた。 一発で分かった。 秀の、涙だった。 秀の右手が私の背中辺りを握ったのが分かる。 溺れたときなんかに沈むまいと、死に物狂いに掴んでるかのように、力強かった。 「秀………?」 そう呼びかけると、また、優しく唇を奪われた。 雫が光る、秀の長い睫毛が当たって、涙が落ちて、私まで泣いてるみたいだった。