『キーンコーンカーンコーン…』

授業終了なのか開始の合図なのか
チャイムで目が覚めた。

どれだけ眠っていたのだろう。

具合はいくぶんかマシになってはいた。

その時。

『ガラッ』と引き戸が開いて
女生徒が入ってきた。

「ありゃ、先生いないや。
仕方ない、自分でするかー。」

その声で俺はその女生徒が
誰かわかってしまった。

だって、好きな人だったから。

梶山 葵。
性格は明るく快活な女の子。
ショートヘアがとても可愛くて、
もう一年も片想いしている。

航星の中学からの親友で
もう長い付き合いなのだという。

俺はベッドから降りて
梶山の目の前に出ていった。

「…あぁ、なんだ人居たのかー。
ごめん、ちょっと指切っちゃってさ
手伝ってくれない?
あたしこういうの苦手なんだよね。」
梶山はそう言うと笑った。