3月。

九州といえども、
まだまだ冷たい北風が吹いていて
とても寒いが、
とても体の調子もよく、
元気に過ごしていた。

それに、元気な理由は
もうすぐ葵が会いに
来てくれるからというのもある。

バイト代を貯めて、
新幹線で約5時間かけて来る。

それが嬉しくて、ついにやけてしまう。

「……なんか最近、千洋くん
嬉しそうやねえ。」と、彩花が言った。

「うんうん、
なんかいいことでもあったん?」と、彩珠。

「……ちぃっとな。」

さすがに彼女に会えるから、
ウキウキしているとは言えない。

「……葵さんに会えるからでしょ。」
と、華恋が横から口を挟んだ。

「……あっ、人が
内緒にしとんのにお前は。」

「……誰?」と彩花。

「あ、わかった!彼女でしょ。」と彩珠。

「ご名答、彩珠ちゃん。」

「うはぁ、リア充やーん。」と彩珠が
興奮したように歓声を上げる。

「……うるさい。」と言って
俺はそっぽを向いた。

「えへへ、ごめーん。」

彩珠は舌をぺろっと出して謝った。