バレンタイン*少しの勇気をください。



「多分、薔薇野さんが今思い出してるやつだと思うよ」



え、え、あの、思考が置いてけぼりなんですが…。



「一目惚れだったんだと思う。




照れ笑いする薔薇野さんの表情が今でも忘れられない」




そう優しげな笑みを浮かべあたしを見てきた。



「でも、あたし地味だし…
お姉ちゃんと比べると全然ダメだし、こんなあたしのどこが…」





いいの?と続けようとしていた言葉は、東雲くんの口の中に消えた。