今日の望月もかわいいっ!

暖房でポカポカな教室。先生は長たらしい年表をサラサラと黒板に書いてゆく。

そんなのは目に入らない。まあ、入ってはいるけど、どうでもいい。

だって、望月がノートをとっている!✧

ちっさい体をちょっぴり猫背にして一生懸命に書き書きする望月。

制服の肩のパッドがくいっとあがって、ちょっぴり勇ましい肩になっている。その不釣り合いな感じがまたかわいい。

隣の席のタケルは、きもいとかストーカーみたいとか言うけど、あたしはただ望月がかわいくて仕方がないだけ。

望月のいじらしくてガキンチョ感あふれる笑顔。

望月のちっちゃな身長。

男子だけど結気(ゆき)ちゃんって呼ばれるとこ。
そして、それを気にしてるとこ。

あたしの母性本能を開放しかさせない望月。

そう、あたしにとって望月は王子様というか、アイドル?弟?なんならペットってくらいただかわいくて仕方がないだけなんだぁぁあ!

また1人心の中で語っちゃった。

うおっふ!なんだなんだタケル。ニヤニヤして。
あ、あたしが望月を見てるからか‥‥。
お前のその顔もキモいから大丈夫だよ‥‥。

思ったことを察したかのように、タケルはしかめっ面になった。
そんなことをしているうちに、授業の終わりを告げるチャイムがなった。

あたしは時計を見上げた。

時計の針は11時をさしていた。時計を見上げたたった一瞬で望月は席からいなくなってた。

しょーがないな。書き終わってないノートとるか。

と、そこにいつもの声がふってきた。

「ねぇ!すーみーれー!」

『おぉ、みことか。なに?笑』

「タケルから聞いたよ〜また望月見てたんだってぇ?」

くそっタケルのヤツよけいなことばっかいいやがる(怒

頭ん中であいつの頭を10発くらいたたいてやった。

『うん、だってかわいいじゃん♡♡♡』

と、テキトーに返事した。

みことは、クラスで仲のいい友達だ。
だけど、こういう話になるとちょっとだるくてうざい笑

「本当望月好きだよね〜。これで本命じゃないとか逆にひくよ。本命でもひくけど」

あたしをバカにした口調。
別にいいんだけど、ひかれても困る。
あたしにとっては普通なのに。

『うっざぁ!いーじゃん、ほっとけほっとけホットケーキ!』

こんなしょうもないダジャレでも笑ってくれる人がいる確信がある。

するとやっぱり、となりで静かにしていた咲羅(サラ)がくすくす笑い始めた。

本当に咲羅はかわいいなぁ。
アニメや漫画の世界から出てきたのかおまえは!ってタイプのThe 女の子だよね。羨ましい。

そんな二人と、美術室に向かう。次は美術だ。
あたしは、絵心がないから萎える‥‥。
でもでも!席が望月と隣!それだけは楽しみだ。

くじ引きで隣が望月だって分かったとき、すっごい嬉しかった!
望月はどうでもよさそうだったけど‥‥。

美術が始まった。
望月はチャイムが鳴り終わるギリギリに走ってきてバタバタと座った。

一番後ろの席。隣は望月。素晴らしくいい場所。
と言いたいところだけど‥‥

となりだと見つめられない!!となりにいるのは嬉しい!けど、見物できない!泣
しかも今日は、となりの人の似顔絵を描くとか!!

無理だよ無理!
あたしの画力じゃこんなかわいい好青年かけませんっっっ!

せめて前の席の宮本にしてください!
宮本なら線だけでかける顔だから!

そんな願い先生に通じるわけもなく、あたしと望月は向かい合って、似顔絵を描き始めた。

ぜんぜんペンが進まない。
描けない‥‥

逆に描いたら失礼に値する気がする。

おでこに少しだけかかった前髪に

パッチリした目に

とおった鼻

真剣にやり過ぎてちょっと尖ったくちびる笑。

顔をまじまじ見ても、描ける気がしない


望月と目が合ってしまった。

え、どうしよう考えてたことバレた?
いや、夢中になりすぎて声に出してた?!

どうしよ、どうしよ、、!

とあたふたしていると、望月が呆れたように

『香月(コウヅキ)‥‥動くなよ!かけねぇだろ?』

と言った。

あ。そうだよ。描くためにあたしを見たんだ。

あたしはアホなのか?

望月はエスパーでも、あたしがひとりごと言ったわけでもない!


正気になれあたし!!


「ごめん‥‥望月。」


『いや、そんな顔すんなよ。暗い絵になるだろ‥‥??笑えよ!お前は笑ってたほうがいいよ?‥‥』

「うん、ありがと」

なんだよ望月。かわいい顔してかっこいいコトいうなぁ。

よし。あたしも描かなきゃ!
これは神様からの前払いのご褒美だ!
やらなきゃバチ当たる!



うん‥‥。予想以上に上手くかけたっ!


『香月どんななった?』


「え?みるの?」

と言うのと同時にスケッチブックを望月に奪われた。

‥‥‥‥‥‥緊張するなぁ


望月はそれを見た瞬間爆笑した。

クラスのみんなが一斉に振り返った。


意外とうまく描けたと思ったから、びっくりしておどおどした。

それを見た望月が

「あ、すみません。鉛筆が落ちてそれがゴミ箱にすっぽり入って笑っちゃいました(汗」

と言った。

あれ?あたしの絵みて‥‥。

何が起きたのかわからないでいるあたしに‥‥望月が耳もとで‥‥

『おまえ、絵下手すぎ笑』

とささやいた。

みんなの前で言わないでくれたんだ。
優しいな望月。

ふっと耳にかかった望月の吐息がまだあたしの耳をくすぐる。

ぽわーとした気持ちに包まれながら思った。

このことは、タケルやみことには教えない!
自慢したい気もするけど、なんとなくやだ。
望月とあたしだけ知っていたい。



なんだこの感じ。


望月にいつもどおり対応できなかった。

女の子みたいになっちゃった(汗
↑女子なのは間違いない↑

ひかれたかな?

でも、いつものあたしじゃ対応できない自信しかない。

なんだこれぇぇぇえ!!