「本当、意味わかんないね」



アハハと笑いながらそう答える“のん”



私は昨日の学ランの男子の話をした



なぜ私に笑いかけたのか、やっぱり気になったのだ



「恋かなあ」



「やめろ、きもいわ。柄にもないこと言うな」



「冗談だし」



「学ランと言えばさ、うちの高校も学ランよ?」



「あ、そういえば」



この高校は少し女子の人数の方が多いので女子クラスというものが存在する



私はその女子クラスの生徒なので男子と関わる機会がとても少ないです



「もしかしたらこの高校の誰かなんじゃないの?イケメン?」



「かっこよかったと思うよ」



「まじかよ、羨ましいー!」



とか目の前で髪をかきむしってるのんですが、彼氏います



ちなみに私はいません



「“しづ”その人と付き合っちゃえば?」



「はあ?いきなり何」



心の中を読んだようなタイミング



ちょっとビックリした



「だってさー普通初めて会った人に、しかも後ろ歩いてただけなんでしょ?そんなもう2度と会わないかもしれない人に笑いかける?ただの通行人Aだよ?」



「まあ確かに……」



俯いて昨日の光景を頭に浮かべる



雨の音、水を吸って重くなった制服、冷たくなっていく肌



わざわざ止まって振り向いた彼



謎の笑顔



「んー、わからーん!」



頭を抱えたが私は考えることを放棄した



「あんな奴なんかもう知らーん!」