「好きだあーーーーあぁーー、あ?」




体中に走る激痛で目が覚めた。



目を開けると床。


昨日、葵が寝ていたところだ。




………てか、なんでベッドから落ちたんだ……?


寝相はいいほうだったんだけど……




そう思ってゆっくり起き上がる



と、目の前にニコニコと笑っている母さんの姿が





「朝から素敵な愛の言葉ありがとう。

でも、羚?今何時かわかるかな?」




そんな言葉で部屋の時計を見る。




7時20分………?



いつも乗ってる電車は7時45分発。



駅までは徒歩10分。





「えー………と。」



やばい?


やばい。


やばい!!




「母さん!着替えるから部屋から出ていって!今すぐ!」




「ちょっ、ちょっと!?」



母さんの背を押し、部屋から追い出す。




そこからは猛スピードで着替える。



自慢じゃないが、早着替えだけは得意だ。



別に普段から遅刻しかけてるから…っていうのではないけど。



いや、ほんとに違うよ!?





誰に言い訳してるのか分からないが、とりあえず、着替え終わる。





だだだだだだだだっ




勢い良く部屋を出て、階段を駆け下りる。






ふわっと、美味しそうなコーヒーとトーストの香り。




ぐううううううう〜



「うっ……」



お腹が、「はよ食えよ」と主張してくる。




〜〜〜〜〜っ!




空腹をこらえ、玄関に向かう。





残り10分!





靴を履き、「いける!」そう思った。





そんな俺に後ろからかける声。





「ひどいわぁ……せっかくお母さん、トースト焼いたのに……。羚は知らないだろうけど、お母さん、毎日、あなたが食べなかった冷えて固くなったパンを食べてるのよ?ホントはお母さんだって……」



「あーーーもう!分かったって!
食べるからっ!」




そう言って、ダイニングに戻り、トーストをくわえ、少女漫画の主人公のように家を飛び出す。





「いってらっしゃーい!」




そんなのんきな母さんの声に背中を押され、綺麗な青空の下へと飛び出した。