課長、ちゃんと聞いてください。

俺は昔から、真剣な雰囲気だとか、真面目な話だとか、自分のことを良く言ってくれるような会話が苦手で。




なんというか、むず痒いっていうか、いたたまれないっていうか、ね。





それですぐに茶化した態度をとってしまい、よく親に「ふざけるのはやめなさい」と叱られたものだった。





そんな思い出にふけっていると。






「ところで五十嵐、お前いま、付き合ってる子とか、いんのか?」





「ふぇっ?」






いきなり訊かれて、思わず変な声が出てしまった。





佐々木が「おっ、いるのか!」と眉根を寄せている。






佐々木は、この中で唯一、俺と同じく独身なのだ。






「まー、そーいや五十嵐って、意外とモテてたもんなぁ」






なんて勝手なことを言いながら、店員の女の子に熱燗を頼む佐々木。