課長、ちゃんと聞いてください。

「………えーと」






「はい」






「だ………抱きしめてもいいですか」






「………はい。そうして欲しいです」






あべちゃんのきれいな瞳に映る自分の顔を見つめながら、俺はぎゅうっとあべちゃんを抱きしめた。






一瞬、身を硬くしたあべちゃんは、すぐに身体の力を抜いて、ほうっと息を洩らす。






「………やっぱり、ほっとします」





「うん………俺も」






愛しさが込み上げてきて、俺は抱きしめる腕にさらに力を込めた。






キス、したいな、と思ったけど。





やっぱり臆病者の俺は、あべちゃんの前髪をふわりと掻き分けて、額に唇をつけるのが精一杯だった。






するとあべちゃんが、茹でだこみたいに真っ赤になった。





それを見て、まぁ、ゆっくりでいいか、と俺は笑った。






ゆっくり、ゆっくり、ね〜。