課長、ちゃんと聞いてください。

そろそろあべちゃんの乗る線の終電が近づいてきている。




まさか、泊まっていく気はないんだろうけど………。





なんて思いつつ隣をちらりと盗み見ると、あべちゃんがこん、とマグカップを置いた。





あ、「そろそろ帰ります」がくるかな、と少し寂しい気持ちになったところで。






「………あの、課長」





「はいっ」






あべちゃんが正座しなおし、まっすぐに俺のほうを向いた。







「欲しいものはありませんが、して欲しいことを思いつきました」






「え……っ」







どうやらあべちゃんは、俺がさっき訊いた『欲しいもの』について、ずっと考えてくれていたようだ。





あまりの素直さにきゅうんとしつつ、俺は「なになに〜?」と訊ね返した。