課長、ちゃんと聞いてください。









「あべちゃ~ん、終わった~?」





夜8時、すっかりひと気のなくなったオフィスで、俺はあべちゃんに声をかける。




あべちゃんがぱっと顔を上げ、「はい、終わってます」と答えた。




その言い方から、俺のことを待ってくれていたのだと分かり、胸がほっこりする。





「ほんじゃあ、行きますか~」




「はい……よろしくお願いいたします」





まるで採用試験の面接みたいな挨拶に、俺はぷっと噴き出した。





「………な、なんで笑うんですか……」




「いえいえ、気にしないで~」




「気になります」





あべちゃんは少し膨れっつらをして、俺のあとをついてきた。