なんでこう次から次へと災難が降りかかるのかわからない。
でも、他人があたしの名前を使って怪盗になることは生活費と同じ。考えてもどうにもならない。
自分に被害が及んだ時に限り、真剣に考えようかなと思った。
「あおい!」
一日が終わって、帰ろうとしたとき、ゆうに呼び止められた。
「どした?」
「今日もバイトでしょ? うちには、秘密なしだからね。」
「はいよ。じゃ。」
短く返事をして、カバンを肩にかける。
「じゃーねー」
適当に顔見知りの友達にも、別れをつけでバイトに行く。
あたしのバイトは、よろづ屋?といっても、某アニメのようにお助けするわけではなく、骨董品から最新ゲーム機まで、販売する。小さい店舗の個人経営だからアルバイトしてるのはあたしを含み2人くらい。
時給もいいし、融通も聞く。
「こんちゃー。」
「今日は、はやいじゃん。あおい。」
この20歳後半のお兄さんとでも呼んでおこう。
この人がこの店の店主。
ここで働くようになったのは、前に盗んだものをここに卸していたから。
あたしが盗むのは高級な一品ものの宝石ではなく、ちょっぴり高めな、骨董品だったから。
まぁ、そんなのじゃあ新聞に取り上げられない。
時たま人に頼まれて一品ものを盗むこともあったから。
だからこの人も、あたしの昔の姿を知っている。

