「ありがと!じゃーバイバイ」



そう言って夏川君は歩きだした



「千咲??」



えっ…



「なんでここにいるの?」



『えっ…と…』



「田辺先生から電話来たけど大丈夫なの?」



『大丈夫だよ…元気だから…』



聞こえちゃったかな?



「自分の身体なんだからしっかり管理しなきゃ駄目でしょ
ただでさえ、病気のせいで体力落ちてるのに…」



隠してきたのに…


バレちゃうじゃん…



『私…病院戻るから…』



もう…いいや…

バレても…



「そう…気を付けて帰ってね」



“帰ってね”か…


やっぱり…私の帰る場所はここじゃないんだ…



『じゃーね…』



お母さんに背を向けて、私はその場をあとにした…