「もっと…千咲の家が遠かったら良いのに…歩いて行けないくらいに」
『それはちょっと困るな』
「冗談!」
多分…冗談で言ったんじゃない…
夏川君は本気で言ったんだ
私にだって分かる
『そっか…』
「俺ね、千咲の存在があったから高校生活充実してたと思うんだ」
そう…だったんだ…
「俺諦め悪いからさ…
だから、この恋が思い出に出来るようになったら…また一緒に帰っても良い?
いつになるか分かんないけど…」
これが夏川君の覚悟なんだ…
ここで拒否してはいけない
なぜかそう思ってしまった
『良いよ』
「あ~ぁ…もう着いちゃった…」
『送ってくれてありがとね』
「最後にさ…前みたいに呼んでくれない?」
名前…
『亮くん…』
久しぶりだと恥ずかしいな…