「おや、お客さん。手を怪我してるのかい?」 店主は旅人の右手の包帯に今気づいたらしく、首を傾げながら尋ねた。 旅人は、さっきまでずっとにらめっこをしていたメニュー表から顔をあげると、 フードの奥に微かにみえる唇を開き、 何かを言おうとした。 ... だが、 言葉を口に出す前に、 店の向かい側にある、レストランと思われる店から ドンガラガッシャンという大きな物音と、 男の怒鳴り声が聞こえてきた。