初デートを終え、月曜日。私はウキウキスキップで登校する。
不覚にも彼氏ができた喜びを噛みしめている自分を殴りたい。
「藍〜!おはよー!」
「おはよ、朝から元気だねー」
そりゃあもちろんですよ、藍さん。
あんなことがあって元気じゃない人いませんよ。多分。
「あんなに嫌がってたくせに...」
「しょうがないでしょっ!」
過去は過去だよね!今を見なきゃ!
今日からはもう、任意で一緒に帰ってあげてもいいかな、なんて思う。
こんな私は重症だ。
ベシッ
「痛っ!」
不意に頭を叩かれる。明らかに藍よりも大きな手。
誰...?
「眠そうな顔してんなー」
振り向くとそこには、お前も充分眠そうだろっていう顔したあいつがいた。
「そっちも眠いくせに...叩くなバカ!」
「あ、いいんだ。学校だからって忘れてんのー?」
「...あっ」
こんな些細なやり取りがたまらなく嬉しい。もう嫌だなぁ...
「朝からラブラブだねぇ...葵、先行ってるよ」
藍が状況を察して足早に教室へ向かう。
てか付き合ってるってまだ言ってないのに...分かっちゃうのかなぁ...
そんなに分かりやすい!?
「なに顔赤くしてんだよ、行くぞ」
そう言われ、私は取り残されそうになってしまう。
「え、ま、待ってよー!」
あいつって...なんであんなに余裕なのー!?