ギィッ......
意を決して屋上の扉を開く。
上手い具合に話をつけて写真も消去させて万々歳で帰ろう、うん。
屋上には遠くを眺めている、あの憎たらしい奴しかいなかった。
...普通にしてればほんとに整ってるのに...
「何?見とれてんの?」
「きゃっ!」
気付けば彼は私の目の前まで来ていて、顔が15cmくらいの距離まで迫っていた。
「み、見とれてなんかっ...」
「ふーん...来てくれたんだー」
はぁ!?お前が写真バラまくとか言うからっ!
「写真!早く消して!」
「は?写真?...あぁ、あれね」
「それ消してもらいにきたんだけど!」
それで私は速やかに帰還するの!
なんて...無理だった。
「ばっかだなぁ、お前!」
「へ?...ひゃっ...」
またも私は壁に追いやられ、ドンされてしまう。(壁ドン)
顎を持ち上げられ、整った顔に至近距離で見つめられながら言われる。
「あのさぁ...写真なんて嘘に決まってんじゃん。おびき寄せるための罠」
「...え?」
「葵ちゃんとしっかり話をしておきたいなぁって思ってさ...」
話...って付き合うっていう?
無理無理!...って、心では思ってるハズなのに、こんなに見つめられちゃうと...
「ねぇ...付き合ってくれないの...?」
「だ...だって、おかしいもん。お互いのこと全然知らないのに...付き合うなんて...」
ダメだ、最初の威勢はどこにいった、私!
でも...否定はできないんだよ...