最強少女と愉快な仲間達**

ふと、ポッケに入れていた携帯の時計を見る。

「そろそろ行かなきゃ。遅れちゃう」

「そ、そっか。困ったこととかあったら直ぐ俺に電話してこいよ。メールでもいいから」



たーくっ、過保護なんだから。


「分かってますよー!雄大こそ。私がいなくて寂しいと思ったらメールとか電話してきてよね」

冗談気味に妬ましく笑って見せる。

「ばーか。寂しいなんて思わねーよガキじゃあるまいし。」

おでこにデコピンをくらう。

もー。いつまでも子供扱い。
まあ、まだ私も12歳だし。


「へへ、でも私はガキだから……寂しいよ」

苦笑いを浮かべて舌をちょっと出してみる。

こうやって言葉に出すと改めてもう会えないんだと自覚する。

あーあ、一生の別れってことじゃないし、大したことはないと思ったのにな。



俯いて、涙が溢れそうなのを必死に抑えた。

顔はしたに向いてるから雄大はどんな表情をしてるのかわからない。

どうせ、あきれ顔を浮かべてるんだろーな。

そんな事を思ってたら、

ふわっと優しい香りにつつまれた。
これは……


「雄大……?」

雄大の腕の中。
雄大の服の匂いだった。

優しく、緩く抱きしめてくれる。

あー、暖かいな。
こんな事思ったの何年ぶり?


自然と涙腺が揺るいで涙が一粒溢れだした。

それが合図のように次から次へと溢れ出す雫。


「ごめん。今さっきの訂正。俺も寂しいよ」


え……

こんな事思ってくれてたんだ。
私と同じこと思ってくれてたんだ。


凄く嬉しくなった。

「……っっ」

静かに泣く私を優しく抱きしめて頭を撫でてくれる雄大の大きな手。
居心地がとてもいい。




私は、どこからかこの温もりを求めてたんだな。