「夢雨、ごめんな。ごめん!」


「お父さん?」

少女は、お父さんが何に対して誤ってるのかがわからなかった。


首を傾げて、聞き返してみるもお父さんは黙ったまま。


「元気でね。夢雨。」


「お母さん?」

お母さんは、そっと優しく少女の頭を撫でた。

悲しそうに愛しそうに今にでも泣きそうな笑顔で笑った。

「なに…言ってるの?私、元気だよ?ねぇ、元気だよ!?」


何となく小さな頭でも分かった。
この二人が何処かへ行くということ。


お父さんはそっと夢雨を引き離す。

「ねぇ、待って、お父さん!」

もう一回抱き着こうとするも、炎が少女と両親の間を遮った。

両親は、哀しそうな笑顔を向けて前に進み出した。


「嫌だよ!お父さん!お母さん!」


「いや、嫌だ嫌だ嫌だ!行かないでよ!」

両親は一度も振り向かず炎に包まれ消えてしまった。

「お父さん!!!!お母さん!!!」



いやだ、もう暗闇に一人は嫌だよ…


少女はまた暗闇に1人。
両親が去っていった方向を只々泣き続け見つめ続けた。




「怖いよ、苦しいよ。一人は嫌だよ。一人は苦しい。」

また膝に顔を埋めて呪文のように言い続けた。


「怖いよ、苦しいよ。」








誰か助けてよ……