『きえちゃだめだよおねぇちゃん』

『ゆいり…くん?』

『おねぇちゃんにはまだみてもらいたいものがあるんだ』

嫌…
もう嫌…
見たくない…

『だめだよ』

ヤメて…
見せないで…
もうわかったから…
私がどれだけ罪深かったか…
わかったから!

『みて』

映像が流れ込んでくる…
ゆいりくんの記憶が…
想いが…

二人で重ねたセカンドライフが…

『横峰さん』

ゆいりくん…

『しのちゃん』

ゆいりくん…

『詩乃』

ゆいりくん…

『詩乃!』

ゆいりくん…!

『詩乃!!』

ゆいりくん!!

気がつくと目の前にノイズが壁になって渦巻いていました。

『諦めんな!!自分をしっかり持て!!』

『ゆいりくん!?』

『俺の手!わかるか!?』

『わかる…わかるよ!!』

『離すなよ!?』

『離さない…離さない!!』

黒い渦の中、私の右手が飲み込まれています。
その手に、ゆいりくんの手が確かに繋がれています。
ゆいりくんの温もり、ゆいりくんの柔らかさ、確かに感じます。
姿は見えないけど、確かにゆいりがそこにいます。

『自分をイメージしろ!消えかかってるぞ!』

『私…私…?』

『お前は詩乃だ!思い出せ!』

『私…』

『思い出せ!俺の大好きな詩乃だ!』

『私も…私も!大好きなんだから!!ゆいりくんの彼女だもん!!』

全身に感覚が戻ってきました。
痛い!
ノイズに絡みつかれた腕に激痛が走りました。

『いっ…た…!』

『引っ張ってくれ!俺を引きずり出すイメージを膨らませろ!』

『引きずり出す…イメージ…』

ゆいりくんを…
ゆいりくんが戻ってくるイメージ!

『ゆいり…くん!あとでちゅうしてよねっ!?』

『する!唇が腫れ上がるくらいしてやる!だから頑張れ!!』

『うぅぅぅぅぁぁぁあああっ!!ぶっこ抜けわたしぃぃぃぃぃっ!!』

目の前のノイズの塊からゆいりくんがズルリと引き抜かれました。

『詩乃!』

あぁ…
ゆいりくんだ…

ゆいりくんが帰ってきた…